『道』

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冬至

バリアージ15周年記念公演『道』の

千秋楽を観た

 

90分の物語になっていて

観終わったあと

心が暖まって

じんわりと涙がこみあげた

 

今まで凍っていたものが

解けていく感じだった

 

 

観客の1人である私にとって

今回の『道』は

昨年6月の宴から

始まっていた

 

あのときChieさんは

トリで「冬」を踊った

 

ラストで

枯れ落ちる老木の

周りの空間いっぱいに響く

ずしん、ずしんという音は

本当は聞こえてはいないのに

今でも耳の中に残っている

 

今回は季節が進んで

春で終わった

 

冬、木の葉は枯れ落ち

緑はなくなる

灰色の世界は

死のようで

恐ろしい

 

春は

新しい命が生まれ

芽吹く季節だから

素晴らしいという

私の価値観は

肩すかしをくらい

 

死は終わりではなく

次のプロセスに進むための

ひとつの通り道であり

 

それが

どんなプロセスであったとしても

留まらず

歩み続けることが

歓びであるということを

感じて

心が暖かくなった

  

二胡とチェロ

鼓と唄

歌と声

 

ダンスだけでなく、

能、芝居も

表現の手段として

使われていて

 

目から

耳から

全身の皮膚の細胞の

ひとつひとつから

作品を

受け取ることができた

 

8歳のMarikaの

まっすぐなまなざしは

物語の語るうえで

欠かせなくて

秀逸

 

 

舞台中央の樹のオブジェが

珊瑚のようで

天井からあたるライトの光が

海面から注がれる日の光のようで

 

まるで

海の底にいるような錯覚

 とてもあたたかく

安心感があった

 

母の子宮の中にいて

どんなことがあっても

守られているような

安心感だった

 

それは

『道』の中のストーリーだけでなく

このステージそのものが

大いなるものに守られていたからかも

知れない